戦後の昭和21年5月23日、史実調査部(十川中佐が質問)により作成された資料です。
某士官の戦時中の体験を取り纏めたものでその記述は「概ね正確」と認めるありますが、
九三式魚雷だけでなく比島(サマール沖)海戦の沖波戦闘行動関係の資料もありますが、
ここでは九三式魚雷の部分だけ抜粋しました。
「マニラ東方海軍防衛部隊の行動概要」として残すのは強硬に拒否したとあります。
「S士官」詳細な氏名は不明です。
(「S士官の手記 続編」に出てくる沖波先任将校砲術長 島村大尉の可能性も考えられます。)
判読できなかった文字は●としています。
九三式魚雷一型改二斜進装置一型"
緒言
九三式魚雷の第一空気を全廃し新考案の第一液に依る発動方式を採用することに依り
多年九三魚雷の癌とせられたる第一空気関係の諸障害を悉く解消しその取扱を画期的に
容易ならしめたり。
而して第一空気発動方式に比し聊(?)かも遜色なきものなり。
原理
気体液体何れの状態にあるも不燃且制燃性なる第一液の特性利用。
作用
(1)起動弁啓開時発停装置に於ける第二空気圧縮熱に起因する災害防止。
(2)発停装置発動の際、確実に第二空気に先行加熱装置内に噴出●期着火時の爆発未然防止
(3)起動弁啓開時の摩擦熱に依る危険防止
(4)第一液→(第二空気+霧状第一液)→純第二空気 初期発火時の燃 緩和
第一液の性状
(1)反応中性。無色透明、水に不溶、鉱油石油には容易に溶解、沸騰点80℃ 凝固-23℃
液体比重純粋の1.6倍 気体比重は空気の5.3倍 蒸発熱「アルコール」に比し極めて小
表面張力小、 隙部に浸透並びに霧状化容易
(2)大気中にて燃焼せず、有圧酸素中にて赤熱電熱線に依り燃焼乃至爆発せしめ得ず
(3)多少 性あり
◎米潜水艦魚雷(19-5-8 北海道)
1942年製高雷速(48kt)
調定深度 10feat
頭部1943年製 炸薬270kg 312kg
磁気起爆装置使用しあらず
慣性式爆発尖 感度 約20度