大神回天基地

大島防備隊戦時日誌通信文


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 大島防備隊は佐世保鎮守府の隷下にあり、特攻戦隊に属さない「防備隊」の一つです。
 現在の奄美大島付近の防衛を担当しており、沖縄戦以後は最前線の基地でした。
 また震洋隊も配備されています。
 ※水上水中特攻部隊終戦時編成図参照

 大島防備隊の通信文の中から昭和20年8月15日以降、佐世保鎮守府から発信されたものを中心に抜粋したものです。
 呉鎮守府でも同じような電文が送信されたのはないかと考えられます。
 ●は判読できなかった文字、■は迄の旧字体(「しんにょう」に「占」)になります。

 15日 16日 17日 18日 19日 20日
  

15日


 15日0850
 海護総司令部→海護総部隊
 本15日1200ラジオに依り陛下親しく詔書親しく御放送あそばさる

 15日1225
 佐鎮長官→佐鎮各部隊指揮官
 南方海上遊弋中の敵は急速に我が要地に進駐するものと判断せらるるに付保管の機密物件は迅速に処理を了せられ度

 15日1228
 佐鎮長官→佐鎮部隊
 信電令第107号
 各隊(各庁)指揮官(長)は現有陸戦兵器火薬爆薬類を警備に必要なる最小限を残し速に之を適当なる地点に収集し厳重なる警備保管に仕ずべし

 15日1320
 佐鎮長官→佐鎮部隊
 信電令第108号
 新局面に対応各部不取敢左に依り行動すべし
 一、上命を奉戴し各部結束を固くして最後迄一糸乱れさる統制を保持の為計画措置を講ずべし
 二、所掌兵器物件(食料を含む)の警備を厳にし絶対不慮事故を防止すべし

 15日1512
 佐鎮長官→佐鎮部隊
 停戦のことに御裁可あり我より積極的攻撃動作は執らざる中央の方針なるも武力停止の令なき限り敵の攻撃に対しては自衛上断呼反撃を加ふべきを以て各部は其の姿勢保持戦闘準備に間隙を生ぜしめざる如く特に指導あり度

 15日1930
 GEB参謀長→海護総部隊
 何分の令ある■「ソ」領及同領海等に対する積極進攻的攻撃作戦は行はざる●に定めらる但し護りは等自衛及防御的の作戦行動は従前通り右命に依る。


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16日


 16日0105
 GB長官→佐鎮各部隊・指揮官・8FGB
 大命の下に軍隊の統制を保持するは現状勢に於て最大の責務なり、然るに一部国民之に違反する言動あるは厳に戒心を要す。各級指揮官は神厳なる統率の下に愈々統制を強化し各其の本分に邁進せしむるを以て聖慮に副ひ奉らんことを期す

 16日0700
 沖大東→大防司令
 機密書類全部焼却す

 16日0710
 佐鎮P→佐鎮部隊
 信電令第109号
 一、築城作業は之を停止すべし但し自衛上必要とするものは特例ある迄部隊自隊にて整備を続行するものとす
 二、女子勤労員は特に緊急と認むるものを除き之を解傭するものとし速に今後約二月分の俸給を支掃ひ皈宅せしむべし
 三、学生並びに挺身隊之を速に縣市等の当事者に返還皈宅せしむべし
 四、工作廰及び作業廰は清算作業(食糧を除く)を停止整備作業に従事すべし
 五、増加徴傭員(半島人含む)は右作業に必要ならざむものは之を解傭し約二ヶ月分の俸給を支拂ひ復皈せしむべし
 六、徴傭船、徴傭船員は速やかに解傭すべし
 七、各種の生産派遣兵力は速に原隊に復皈せしむべし

 16日0950
 佐鎮長官→佐鎮部隊・指揮官
 信電令作第183号
 一、停戦の大詔煥発せらる積極進攻作戦は中止せられたるも武力行動完全停止の令ある迄は擔任地域に来攻(上陸、着陸を含む)する敵に対しては猶豫なく自衛反撃すべし
 二、各部は一層軍紀の統制を厳にして強固なる団結を保持すべし
 三、陸上各部隊は警備を厳にして不慮事故防止制圧守備民心の安定に努むべし
 四、海上防衛指揮官は現任務の外民心安定を目途として擔任海面の警備を強化すべし

 16日0955
 佐鎮長官→佐鎮部隊
 信電令第110号
 入庫糧食の処理に関しては特令ある■格納警戒を厳重にし概ね最近一月分所要量の外之を民需に供與の準備をなし置くべし

 16日1021
 佐鎮長官→佐鎮部隊
 施設艦船兵器等を故意に毀損(自沈)せしむるは将来の賠償決定に重大なる影響あり各部隊に付指令特令するものの外厳に相戒められ度き内意あり

 16日2146
 佐鎮P→佐鎮部隊
 発大臣 宛部内一般
 謹みて今次帝国政府「ポツダム」宣言受諾決定に至り経緯を伝達す
 数次に亘り最高戦争指導会議及び閣議に於いて有らゆる角度により検討せられたるも纏まらず其の儘御前会議最高戦争指導会議(構成員閣僚特に参列)に移されたるも尚意見一致せざりし為に遂に御裁下を仰ぎ奉りたる結果全く上御一人の御神慮に依り帝国将来の為には国体護持を得策とし該宣言を受諾するも已むを得ずとの名判決を下させ給ひたる次第にして鯤龍の神に隠れて策動せるが如き一人として存せず特に至尊に置かせられては股肱と頼む陸海軍の武装解除を命ずるは情に於て是忍び難き所なるも帝国悠久の生命護持の為已むを得ざる旨懇に御諭しあり畏くも涙し給ひしく排せり●へに必要あらば何てもやる故頼むと仰せられ其の御決心の程拝察せられ満堂皆感激す尚御自ら陸海軍将校に会って話してやってもよいとの御内意ありしも本職及び陸海軍大臣は恐懼堵たところを知らず死を以て部内の統制の旨言上御辞退申上げたる次第なり部内関係に於ては右御聖断及び本裁可を親しく御放送遊ばされたる御詔勅の聖旨を体し国家の大本に悖らず只管御聖慮に副し奉るが如く奉公の誠を盡すべし

 ※管理者追記  こん【鯤】
 中国古代の想像上の大魚。北の海にすみ,大きさは数千里あるという。

 16日2146
 佐鎮P→佐鎮部隊
 施設艦船兵器等の毀損自沈等は帝国の大なる不利となる虞あるにつき指令なきものについては一切此の種措置に出でざる■各個指揮各部に於て厳戒せられ度


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17日


 17日0100
 佐鎮長官→佐鎮部隊
 信電令第185号
 一、室戸崎見張所よりの報によれば1930敵艦船11隻七●湾侵入海軍特攻隊攻撃中
 二、各部は警戒を厳にせよ

 17日1001
 佐鎮参謀長→佐鎮部隊
 佐世保地区主食の余裕少きを以て生産に協力兵力復皈の際手持の食料は可及的携行せしめられ度
 尚○に対しては別に処理す

 17日1512
 佐鎮長官→佐鎮各部隊・指揮官・通報軍務局長
 部下一般に訓示
 帝国の「ポツダム」宣言受諾に関する経緯は官房機密第160106番電及官房161420番電の通にして総て聖断に出ず此處に於て陛下の軍隊が向ふ可き所亦一点の疑義なし一切の行動悉く上命に基くべく苟くも巷間の流説に迷はされて妄動し或は紊りに臆測して民心を動揺せしむるが如き言動断じて有るべからず諸子が決号作戦に誓ひたる全員特攻の精神は直に之を今後の困難と忍苦を甘受すべき大勇猛心に転ずべく深く計って将来に期し国運再興の強靭なる●在力たらしむへし

 17日1950
 海軍大臣→部内一般
 本17日本大臣を召されられて先の直詔語を賜はりたり朕曩に米英に対し戦を宣してより三年有八ヶ月を闥す此の間朕が親愛なる陸海軍人は瘴癘不毛の野に或は炎熱の狂濤の海に身を挺して勇戦奮闘せり朕深く之を嘉す今や新に蘇国の参戦を見るに至り内外諸般の情勢上今復に於ける戦争の継続は徒らに損害を累積し遂に帝国存立の根基を失ふ虞なきにしもあらざるを察し帝国陸海軍の闘魂熱烈たるものあるに拘らず光栄ある我が国体護持の為朕は並に米英蘇並に重慶と和を講ぜんとす若し夫れ鋒 鏑に斃し疫病に死したる幾多の忠勇なる将兵に対しては衷心より之を悼むと共に汝等軍人宜しく朕か意を體し鞏固なる団結を堅持し出所進止を厳明にし干辛万苦に勝ち忍び難きを忍びて国家永年の礎を残さんことを期せよ

 17日1551
 海軍大臣→部内一般
 訓示
 留任に際し本大臣は諸士と共に承詔必謹死力を盡して難局に處し誓って聖旨に副ひ奉らんことを期す

 17日1750
 佐鎮P→佐鎮部隊
 信電令第111号
 築城基地設営等の作業協力の為派遣中の兵力は全員成るべく速に原隊に復皈せしむべし


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18日


 18日0450
 佐鎮P→佐鎮部隊
 各部に於て収容中の俘虜あらば8月15日現在にて左の件至急報告あり度
 一、所在地別員数 二、入院(室)患者数

 18日1007
 佐鎮P→佐鎮部隊
 各所轄長 信電令第112号
 一、各所轄長は任務上特に必要とするものを除き補充兵役及国民兵役の応召者中警察鉄道逓信関係者学校市町村公吏を8月18日附現地に於て応召解除の上皈郷せしむべし
 二、右皈郷者には弁当の外主食概ね一週間分及現用中寝具被服(附属品を取除き平服とす)を交付携行せしむるものとす
 三、解除者は官等級氏名を速に佐世保人事部長宛通報すべし

 18日2020
 佐鎮P→佐鎮部隊
 信電令第114号
 各隊は自衛並に整備に従ひ妨げさる範囲に於て極力食糧生産に従事又は協力せしむべし


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19日


 19日0835
 佐鎮P→佐鎮部隊
 信電令第115号
 軍需品を地方機関又は民間に無償保転又は無償掃下げする場合左の順序に依るべし
 一、公用施設 二、戦災復旧 三、平和産業 四、現貸与中のものは貸与先
 右の場合個人を対象とすること成るべく之を避け(特に食糧は必ず地方食糧事務所を経由すること)且極力広く(薄くなるも止むを得ず)行渡る如く注意すべし


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20日


 20日0806
 佐鎮P→佐鎮部隊
 信電令第119号
 信電令第118号被服及糧食の譲渡を一応打切るべし糧食の保有量を約二ヶ月分に改む

 20日2000
 佐鎮P→佐鎮部隊
 信電令第121号
 本20日以降佐鎮部内に於ける灯火音響及交通管制を解除す

 20日2044
 佐鎮P→佐鎮部隊
 宛部下一般
 信電令作第186号
 一、大海令第50号を以て昭和20年8月22日零時以後一切の戦闘行為を停止発令せらる
 二、8月22日零時を以て爾後の一切の戦闘行為を停止すべし
 三、前項所定の時機以後麾下部隊の作戦任務を解く各庁長は既令の作業を続行速に之を完了すると共に流言に惑はさることなく軽挙を戒め皇国将来の興隆を念じ隠忍自重を以て誓って順逆の道を違はざらんことを期すべし



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