大神回天基地

第一号型輸送艦(一等輸送艦)


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第4号輸送艦
第4号輸送艦
(Wikipediaより)

 @制空権の喪失と第一号型輸送艦の誕生
 A第一号型輸送艦(一等輸送艦)
 B第20号一等輸送艦(第一号型輸送艦)・艦歴

 このページは大神基地から出撃した若葉隊の回天輸送に深くかかわった第一号型輸送艦について解説しています。

@制空権の喪失と第一号型輸送艦の誕生


 ガダルカナルなどのソロモン諸島の戦いにおいて、制空権の獲得に失敗した日本軍は、敵制空権下で海上輸送を行なわざるを得なくなりました。
 低速の輸送船では航空攻撃を受け、撃沈されやすいため、高速駆逐艦や潜水艦を輸送に用いましたが、大量の物資を輸送することはできませんでした。
 そこで大量物資を高速輸送できる新型輸送艦が求められたのです。

 第一号型輸送艦は1943年(昭和18年)から設計に入り、昭和19年度(1944年)に計画されました。
 本艦は、一等輸送艦に分類され、当初は「特務艦特型」を略して「特々」と呼ばれていました。
 1944年(昭和19年)に1番艦が竣工しています。
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A第一号型輸送艦(一等輸送艦)


 急迫する情勢の中、生産性も考慮されブロック建造方式を採用されていました。
 46隻が計画され、22隻が建造、未成1隻。22隻中16隻が戦没しました。
 完成後、僅かな訓練時間を経て、戦地に強行輸送任務として投入され、殆どの艦が失われました。
 しかも敗戦時の軍部の内部文書の焼却によって、沈没位置や最後の様子、正確な乗員の名簿すらほとんど残されていません。
 第二次世界大戦後の一時期、残存艦船の一部は艦尾のスロープを利用し、捕鯨母船(9・13・16・19号)に改装され、近海捕鯨に従事しています。
 なお、一等輸送艦に分類された艦級が他に無かっため、単に一等輸送艦と呼ばれることもありました。

第一号型輸送艦(一等輸送艦)
第一号型輸送艦(一等輸送艦)
『終戦時の日本海軍艦艇』(第2復員局 昭和22年4月)より
(画像をクリックすると拡大します)

 兵装は前甲板には自衛用の12.7cm連装高角砲を装備し、対潜装備として爆雷や水中探信儀も装備されました。
 後期艦には四式水中聴音機も装備されるなど、対潜兵装が強化されています。
 大発動艇などの上陸用舟艇搭載のためデリック3基を装備し、後部甲板がスロープになっています。
 揚陸作業の際はスロープ上からそれらを泛水させました。
 太平洋戦争末期にはここに甲標的や回天・海龍を搭載・輸送した艦もありました。同様にスロープを流用して機雷敷設艦任務にも使われました。

第5号輸送艦

第5号輸送艦
(MONOCHROME SPECTER様より)
※昭和19年8月17日 情島沖 甲標的発進実験時 甲板上に甲標的69号(丙型)

 ※類似艦艇
 ある程度の戦闘力を備えた高速小型の舟艇母艦という性格の艦艇は、ほかにも存在します。
 日本海軍では、戦前に旧式化した駆逐艦の一部を改装し「哨戒艇」と称していましたが、その多くには太平洋戦争開始直前に再度の改装が行われ、後部にスロープが設置されて陸戦隊上陸用の大発が搭載可能となっています。
 アメリカ海軍でも、旧式駆逐艦や護衛駆逐艦を改装して上陸用舟艇を搭載した高速輸送艦(APD)を建造しています。
  
【性能諸元】
排水量 基準:1,500t
 公試:1,800t
全長 96.0m
全幅 10.2m
吃水 3.60m
機関 Sロ号艦本式缶2基
 艦本式オールギアードタービン1基1軸:9,500馬力
速力 22.0kt
航続距離 18kt…3,700海里
燃料 重油:415t
乗員 148名
兵装 40口径12.7cm連装高角砲1基
 25mm3連装機銃3基
 25mm連装機銃1基
 25mm単装機銃4挺、合計15挺
 爆雷18個
レーダー 二号二型(対水上用)1基(1944年)
 一号三型(対空用)1基(1945年)
ソナー 九三式水中探信儀1組
 九三式水中聴音機1組
備考 同型艦 22隻、未成1隻

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B第20号一等輸送艦(第一号型輸送艦)・艦歴


 第20号一等輸送艦は1945年2月24日に呉海軍工廠で進水しました。聯合艦隊第三十一輸送隊に所属していました。
 本土決戦に備え、第二・三・四・十一回天隊・第10海龍隊の輸送任務に従事しました。
 8月4日麦ケ浦に到着・回天輸送後、呉基地に回航中、大津島付近の小祝島沖で機雷による損傷を受けましたが、生き残りました。
 戦後は第三十一輸送隊・第一予備輸送艦として復員輸送任務に従事し、12月1日には特別輸送艦・呉地方復員局所管に移りました。
 その後も復員輸送任務に従事しましたが、1946年9月25日 - 復員輸送中に澎湖列島吉貝嶼(キッバイショ)にて座礁し、僚艦の海118や中国海軍(旧馬公工作部)の協力の元、救難を計画しましたが、結局放棄されました。
 現地は干満の差が激しく岩礁・水深・波・潮流が極めて複雑で困難を極めたと言われています。

 1945年
  1月4日 - 起工
  1月8日 - 命名・達第5号・第二十號輸送艦
  1月8日 - 類別等級制定・内令第13号・種別・輸送艦、等級・一等、艦型・第一號型
  2月24日 - 進水
  2月24日 - 本籍・内令第165号・呉鎮守府
  3月1日 - 艤装員長 - 海軍大尉・三輪勇之進
  4月23日 - 呉海軍工廠で竣工
  4月23日 - 戦時編制・聯合艦隊第三十一輸送隊
  4月23日 - 内令第349号・第三十一輸送隊所属
  4月23日 - 輸送艦長 - 海軍大尉・三輪勇之進
  4月26日 - 呉鎮信電令第8号・第二特攻戦隊司令官の指揮下・回天一型8基を
       油津方面及び須崎に輸送

  4月26日 - 呉防戦信電令作第8号・27日1300豊後水道を出撃油津進出の予定
       〜4月27油津(第五特攻戦隊・第三回天隊)
  4月28日 - 0300 揚塔終了
  4月28日 - 油津〜4月29日呉
  5月3日 - 搭載回天8基中1基は浸水の為返還、7基は第三十三突撃隊(第五特攻戦隊
       に28日揚陸格納

       〜5月4日光
  5月6日 - 基地物件及び回天8基搭載
  5月6日 - 光〜須崎(第二特攻戦隊・第四回天隊)
  5月15日 - 軍隊区分 - 呉鎮電令第12号・呉鎮守府長官の指揮を解く
  5月20日 - 大津島における搭載終了
  5月    大津島〜5月22日光
  5月22日 - 回天8基及基地物件搭載完了
  5月22日 - 光〜5月25横須賀
  5月29日 - 横須賀〜5月31日八丈島5月31日〜横須賀
       八丈島警備隊(第二回天隊)に回天8基を輸送
  6月    横須賀〜八丈島〜06月15日横須賀
       輸送艦長 - 海軍少佐 三輪勇之進
  7月6日 - 第20号輸送艦及び第2輸送隊の輸送艦2隻を呉鎮守部隊に編入。
       軍隊区分 - GB電令作第108号 - 呉鎮守府部隊
  7月14日 - 1020 重油搭載120t
       1410 揚塔作業開始
       1610 揚塔作業終了
  7月15日 - 1047 海龍4基搭載開始
       1338 海龍4基搭載終了
  7月16日 - 1022 鳶ヶ鼻よりY五番浮標繋留換
  7月16日 - 横須賀〜7月16日清水7月17日〜7月17日由良7月18日〜7月18日
       上蒲刈島沖7月19日〜7月19日呉
       横須賀より海龍4基搭載後、呉に向けて輸送作戦に従事(第10海龍隊)
  7月21日 - 呉鎮信令第507号 - 回天8基搭載施設工事実施
  7月21日 - 0930 揚塔作業開始
       1150 揚塔作業終了
  7月22日 - 第二特攻戦隊より第十二回天隊(小浜)の6基
       第十三回天隊(網代)の2基輸送命令が出る。

       (8/1出港予定)
  7月23日 - 清水搭載30t
  7月24日 - 0930 アメリカ海軍艦艇載機による空襲を受ける。
       1740 搭載海龍4基及び架台を全て引卸し呉港務部に引き渡す。
  7月26日 - 0840 重油搭載40t
  7月28日 - 対空戦闘 - 高角砲、二十五粍機銃発射

 ※第20号輸送艦より呉鎮守府宛に8月5日に回天用架台完成予定。8月6日に出港予定という報告がなされています。

  7月29日 - 1620 弾薬搭載開始
       1850 弾薬搭載終了
  7月30日 - 1010 輸送物件搭載開始
       2010 輸送物件搭載終了
       重油搭載250t、清水搭載35t
  7月31日 - 0830 輸送物件搭載開始
       1140 輸送物件搭載終了
  8月3日 - 大神基地回航・回天8基及び物資搭載
  8月4日 - 麦ケ浦に到着・回天輸送後、呉基地に回航中、小祝島沖で機雷による損傷を受ける。
  8月15日 - 残存
  8月26日 - 内令第749号 - 第三十一輸送隊・第一予備輸送艦
  10月6日 - 浦賀〜10月15日トラック10月18日〜10月20日グアム10月20日〜10月26日浦賀
  10月27日 - 石川島にて修理(10月11日まで)
  11月14日 - 浦賀〜11月20日グアム11月20日〜11月23日トラック11月23日〜11月29日浦賀
  12月1日 - 除籍

  12月1日 - 入籍 - 内令第6号 - 特別輸送艦、呉地方復員局所管
  12月1日 - 石川島にて修理(12月15日まで)
  12月20日 - 内令第12号 - 「輸第二十號」と呼称
  12月20日 - 浦賀〜12月26日グアム12月26日〜12月28日ヤップ12月28日〜12月29日パラオ
       12月30日〜1月2日グアム1月2日〜1月8日基隆1月13日〜1月17日浦賀

 1946年
  1月20日 - 石川島にて修理(2月10まで)
  2月13日 - 浦賀〜2月18日グアム2月18日〜2月21日サイパン2月21日〜2月26日沖縄
       2月26日〜2月28日浦賀
  3月6日 - 神戸にて修理(4月10日まで)
  4月1日 - 類別等級削除 - 軍令第1号(自然消滅)
  4月17日 - 大阪〜4月26ラバウル4月27日〜5月1日グアム5月2日〜5月6日浦賀
  5月6日 - 浦賀にて修理(5月19まで)
  6月8日 - 浦賀〜6月12日上海6月12日〜6月14日鹿児島
  6月18日 - 鹿児島〜6月21日上海6月24日〜6月28日鹿児島
  7月14日 - 鹿児島〜7月17日葫蘆島7月27〜7月30日博多
  8月9日 - 博多〜8月12日葫蘆島8月14日〜8月17日博多
  8月28日 - 玉野にて修理(9月10日まで)
  9月25日 - 復員輸送中に澎湖列島吉貝嶼にて座礁放棄


澎湖列島吉貝嶼付近の位置(GoogleMAPより)

  11月01 - 除籍 - 復二第371号

 ※参考資料:回天の配備先については下記のリンク先を参照ください。
  ・回天訓練基地及び基地回天隊一覧
  ・水上・水中特攻基地配置図

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