大神回天基地

@−2 回天輸送と初訓練


bar2.png


 @大発による回天曳航運搬実験
 A作業艇・伊156による回天輸送
 B大神基地への大発による回天輸送

@大発による回天曳航運搬実験

  
 大神基地用の回天進出に際し、第二特攻戦隊では光基地から大発による曳航運搬実験を5月17日に実施する予定でした。

 大発動艇一般配置図及び写真
大発動艇一般配置図及び写真
(Wikipediaより。Web用に加工)

 それに先立ち平生基地では4月22日に(作業艇大発)を使った回天曳航実験を実施しています。また5月13日(大発)も実施されています。
 しかし、5月16日に回天を運搬する為の大発が故障し、翌17日には荒天の為、祝島西方海面にて回天曳航索が切断してしまい、曳航不可能となってしまうというアクシデントが続きました。
 一緒に進出する予定だった震洋(訓練用)のみが、大神に進出しました。

 このころは米軍が投下した機雷の掃海にも手間取っていた時期でもありましたが、17日に光基地から大神基地に向けて、平生基地と大津島からそれぞれ大発の横抱きによる運搬を18日に実施する電報が発せられました。
 しかし、大神基地からは荒天による失敗を恐れと、潜水艦もしくは高速輸送艦による運搬を希望する電報が送信されています。

 また回天の他に訓練に使用する作業艇や大発を各基地から送る通信文が見られます。

 下記の通信文は各戦時日誌から抜粋したものです。
 もしかしたら間違いがあるかもしれません。→各基地の通信文

 「光突撃隊戦時日誌」より
 5/11:P/2Sz→光、大津島分遣隊、平生、大神
 2Sz機密第11●250番電
 1.震洋五型左の通配属す「呉廠保管報告のもの」
 光突撃隊7隻同大津島分遣隊6隻平生突6隻
 2.左に依り各隊より大神突撃隊に対し舟艇配属(派遣)せり
 (イ)光突撃隊及び同大津島分遣隊より震洋一型成るべく速に各三隻引続き、
 第一回受領確認後各三隻宛(適当なる整備員を一時派遣)
 (ロ)大津島分遣隊より回天作業艇一隻(建造中なるを以て完成迄)

 5/16 光突→大神突司令、平生突司令、大津島分遣隊長、通報:大浦突
 光突機密第161715番電
 平生にて準備の大神行回天曳航用大発故障せるに天候平穏ならば 
 別に当隊大発をして回天一及び震洋三を曳航17日0500出発せしむ
 平生の曳航用大発故障復旧せば光及大津島に準備しある回天各一実験を兼ね
 大神に曳航することに致度

 5/17 光突司令→大神突司令、通報:平生突司令
 光突機密第171903番電
 当隊機密第170740番電関係
 荒天の為祝島西方海面にて回天曳航索切断曳航不可能となりたるに付
 震洋一のみ単独大神に回航せしめ大発及回天は祝島に避泊明朝光帰着再挙を計ることとす
 震洋の安全到着に関し然るべく取計度

 5/17 平生突→大神突司令、受報者:2Sz 光突 大津島s分遣隊
 平生突機密第171915番電
 2SZ機密第161358番電及貴隊機密第161812番電関係
 本体回天曳航用大発18日1200発光に回航回天一基曳航の上同日大津島に於て
 更に別の一基を横抱して0600大津島発大神回航予定

 「大浦突撃隊」より
 5/18 大神zg→2Sz参謀(呉鎮参謀)
 機密第182135番電
 大発曳航に依る回天進出は相当の不安なり天候の現状に鑑み
 高速輸送艦の輸送等により速やかに回天送付方取計はれ度


back_small.png pagetop_small.png

A作業艇・伊156による回天輸送


 これを受けて海軍総隊司令部から第六艦隊に向けて、潜水艦による九州方面の回天輸送に協力するように命令が出されました。
 第六艦隊は第二特攻戦隊と協議し、回天輸送用に改造した第34潜水隊所属の「伊156号」・伊156型潜水艦を充当し、輸送計画を立てました。

伊156号潜水艦・伊56号時代
伊56号潜水艦(後の伊156号潜水艦・1928年)
(MONOCHROME SPECTER様より)

 これにより大神基地に関しては22日以降に運搬することが決まりました。

 5月22日には大津島から出発した作業艇(平生基地の戦時日誌には「大発」と記載)が曳航した待望の「回天一型改一」の250号・282号(訓練基)が到着し、その翌日の5月23日から実走訓練を開始したのです。
十五米作業艇十五米作業艇
(『終戦時の日本海軍艦艇』(第2復員局 昭和22年4月)より)

 回天は伊156号による輸送が5月に4回実施され、8基輸送されます。
 第二特攻戦隊は6月1日には第一等輸送艦と併用していた回天配備を、伊156型潜水艦をもって東九州の基地回天隊の回天輸送を決定しますが、6月12日にはこれに第一等輸送艦・伊162・伊158・潜伊165を追加して配備すること、大神基地は大発による輸送を再開することを決定します。
 しかし、実際は6月15日の輸送手段が不明なこと以外は21日・25日に伊156号が、29日に伊158が陸上用練習基1基を輸送しています。

 (参照:「回天及び船舶等の配備状況」)

back_small.png pagetop_small.png

B大神基地への大発による回天輸送


 大発による輸送が、戦時日誌の記録に残る最後に実施されたのは7月21日で、光基地から回天を2艇づつロープで固定し横抱きした大発が2隻、大神基地に向けて出港しました。

 この日は風速13m・台風が接近するという中で、輸送隊は出航見合わせの打電を打ちますが、大神基地隊の出航命令を受けて出航しました。

 輸送隊は国東半島沿いに帰隊するコースをとりましたが、荒波と強い風雨により大分県姫島に退避しました。
 大神基地から22日0700に座礁中の大発を救助するために第七白金丸をだして救出しています。

 なぜここまで大発による曳航輸送にこだわったのでしょうか?
 光基地から大神基地まで直線距離にして約80km。
 大発の航続距離は8ktで300km、乗務員は10名と言われていましたので、伊156で63名の乗員を動員しなければならないことを考えると、燃料・資材の節約をするためが最大の理由と考えられます。

 (参照:「大神回天基地関連地図」)


home.png contents.png back.png pagetop.png
inserted by FC2 system