大神回天基地

九八式爆薬


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 九八式爆薬は海軍制式爆薬で爆弾・機雷・爆雷用に開発されたもので、回天の実用頭部に装備した爆薬です。

 この爆薬は
「九一式爆薬」(トリニトロアニソール):60% 
「ヘキシル爆薬」(ヘキサニトロジフェニルアミン):40%

を混合溶融したもので、2種類の爆薬は共に舞鶴にあった海軍火薬廠爆薬部の研究課で研究・量産化に成功したものを、部内の他に民間化学工場(三井染料株式会社、三菱化成株式会社)で製造していました。
 この開発には崎本邦義・佐々野正義・内田正光の3名の海軍技手が関わっていました。

 九一式爆薬(トリニトロアニソール)は製造工程でも製品となってからも人体に大変な「カブレ」を起こし、これにふれたり近づいて発病した者は第三海軍火薬廠では100%だったと言われています。そのため、外国では使用されず、陸軍も全く関心を示しませんでした。

 ヘキシル爆薬は昭和七年ごろからドイツの文献をもとに爆薬部研究課で試験的に海軍技手・崎本邦義氏が実験開始、非常に危険な実験を経て成功すると、次の製造実験に入り成功裏に完了し、いよいよ工場での量産製造に入りました。
 この実験から原料・製品・実験中の化学分析は海軍技手・佐々野正義氏が担当していました。工場量産体制になり製品となった爆薬を海軍に納入する際の厳重な納入試験の化学分析も全て同氏の担当でした。

 「回天」の計画は軍最高機密で第三海軍火薬廠に勤務していても直接関係者以外は知らされていませんでした。そのような中で極秘工場で回天の実用頭部の九八式爆薬成型作業に直接指揮を任命されたのが海軍技手・内田正光氏でした。
 九八式爆薬は溶融して充填した爆薬であって、僅かに水に溶けますが、全体は変質が起こらず、安定していました。直径が1mある回天の実用頭部に膨大な爆薬量を流し込む際には、大型トラックの荷台に混融された九八式爆薬を積みこんで、流し込む方法で作業が進められました。
 強力な破壊力を持っていましたが、衝撃に対する感度は鈍く耐弾性が高いと言われていました。しかし、その鈍い感度のために命中時に爆発しなかった事例もいくつかあります。

 あえてその特性を生かして回天に採用された理由は
 ・敵艦突入時に機銃掃射等の攻撃を受けても爆発しないよう目的達成までの安全上の配慮。
 ・回天を艦外に搭載した母船潜水艦の安全上の配慮
 が、考えられます。

 英米で戦争後半以降に配備が進んだトーペックスやHBX爆薬に比べると水中破壊力では劣っていたと言われています。(TNT比120%)  





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